シェフのはなし その1

前から書こう書こうと思ってた 私の師匠?であるシェフについて。

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無口で、いかにも頑固一徹といった風貌。
洋食屋さんなのに 何故かこころは古き良き日本だなぁ 一緒に働きながらそう思うのです


例えば今日。



コースのオードブルに牡蠣のグラタンが付きました 4人分だったんです
盛り付けは私の仕事なので オーブンから出たばかりのアチチチチな牡蠣を一つずつ 殻ごと皿へ・・・・

と その時。


ぼとっ 牡蠣を一つ 床に落としてしまいました。

中身はぐちゃぐちゃになっていました 誰が見ても終了です。
ど、どうしよう・・・涙


『申し訳ありませんでしたぁっ!』

間髪入れずに謝りました 私にできるのはそれくらいだから。
シェフは驚きもせず、ただ呟くように一言

『・・・やり直しじゃ。もう一組、牡蠣を用意せぇや。』


それだけ言うと後は背中向けて 淡々と自分の仕事に戻っていきました。




(怒鳴られたほうが余程マシだ・・・)


私はシェフに怒られたことがありません。
優しい・・・とは違うかなぁ でも 怒らないんですねぇ。
その代わり怒るとぷいっとしばらく知らん顔されてしまいます。 それが何よりも怖い自分....

無視とは少し違うけどさ。なんだか自分が情けなくなってしまう(´_`。)

『料理の世界は厳しい』と 料理人は皆、口を揃えてそう言います。
怒鳴られたり 洗剤をかけられたり そんなことは日常茶飯事なんだと。

私はこれを書きながら 以前新聞記事に載っいてたフランスの一流シェフのコラムを思い出しています。
彼は料理を志し 途中で兵役に行ったのですが 後で料理の世界に戻ってきてから言った言葉。

 『兵役の方が余程楽だった』 と、、、

そうだろうなぁ きっと一流どころはずっと厳しいだろう、と
私のところはちょっと想像できないほど甘いのかもしれませんね。


牡蠣は最初から作り直し。全部作り直しです。

だってほら、コースで料理を食べる時は みんな一緒に出てくるでしょう?
4人で食べに行ったのにまずは3人分だけ出てくるとか そんなことは絶対無いでしょう?
あってはおかしいのです。だからまたイチからやり直しました。

それもこれも私の責任・・・ぅぐぐ、、、

小さい店だから 予約とテーブルの都合で 
『コースの方は大体これくらいで食べ終わるだろう、 だからそのあとこの人たちがその席に来て・・・』
全て順番が決まってます。
順序が乱れるのはかなりまずいのです。
それを率先してやってしまった私・・・

夜も11時くらいになってようやく仕事も一息つき もう一度 平謝りに謝りました

『まぁ、牡蠣はいくらでも代わりがあるからよ。気にすんな』

と・・・あれほど迷惑をかけたのに素っ気無い簡素な答え。・・・ごめんなさいでした。


野菜の切り方から箸の上げ下ろしまで全てを教わるのはシェフからです。
私から見れば神同然。だからミスはいかにもまずい。
今度からは気を付けなきゃね(´_`。)


(皆さん食べてお金払ってすぐ帰っちゃいますが、裏では色んなことが起こっていますよ、という話でした(。-_-。))


(今日の写真は全然関係なくてごめんなさい。アンチョビです。
 このまま食べる人もいるらしいのですが それって本当? と疑ってしまう私。
 しょっぱくて食べれたもんじゃないよっと・・・)
by futoshi84 | 2009-03-08 01:24 | その他